美容院(ヘアサロン)を開業するために必要な手続きや資格

美容院開業のためには、事業の届出、福利厚生、資金準備などにおいて、多くの手続きが必要です。
いざ開業するときに必要な手続きができていない、ということにならないためにも、事前にどのような手続きがあるのかを把握しておくことは重要です。

ここでは、美容院を開業するために必要な条件や手続きについて詳しく紹介していきます。

美容院(ヘアサロン)開業までの流れ

具体的な手続きを知る前に、まずは開業までの流れを簡単に把握しておきましょう。

①情報収集と計画
②必要な資金を把握しておく
③資金調達
④保健所や税務署など、必要な届出をする
⑤出店するエリアを決め、テナント探しをする
⑥設備や消耗品を用意する

全体的な流れについては「美容院(ヘアサロン)の独立・開業で失敗しないために知っておきたいこと」でも解説していますが、④の必要な届出については、「どこにどんな書類を提出すればいいのか?」、「どんな手続きがあるのか?」など、分からない点ばかりの人も多いと思います。

美容院を開業するときに必要な「届出」や「手続き」とは具体的にどんなものなのでしょうか?

個人?法人?必要な手続きが変わる

美容院の開業は「個人」「法人」で必要な手続きが変わります。
また、この違いは開業後の手続きにも関わるので注意しましょう。

個人の場合

個人で美容院を開業する場合、必要な手続きは法人の場合よりも少なくなります。
主な手続きには、

・税務署
・保健所
・消防署
・労働保険監督署
・ハローワーク

上記への手続きが挙げられます。
具体的な手続きの内容については後述しますが、各機関への届出には任意のものと必須のものの2種類があるため、特に必須の書類については忘れずに提出しなければいけません。

法人の場合

法人で美容院を経営していく場合、最初に法人の設立をしなくてはいけません。

・法人名
・事業年度
・発行株式数
・資本金
・株主


上記のことを決めてから、法人設立の手続きを進めていきます。このときには行政書士や司法書士にアドバイスを受けながら一緒に進めていきます。
法人設立をしたあとには個人開業の場合と同じように「税務署」「保健所」「消防署」「労働保険監督署」「ハローワーク」への手続きもしていきます。
このほかに、都道府県の税事務所と市(区)役所、年金事務所にも手続きをする必要があります。

また、個人と法人の違いは手続きの数だけではありません。
法人を設立するにはおよそ20万円の費用が必要になります。
そして開業後にも違いが出ます。法人としてスタートするとスタッフがひとりでもいれば「強制適用事業所」になり社会保険への加入義務が発生します。
スタッフの社会保険料の半分は法人側が負担をしなくてはいけません。

美容院(ヘアサロン)開業に必要な手続き

美容院開業に際して、「保健所」「消防署」「税務署」への届出が必要なのは前述しましたが、具体的にはどんな手続きが必要になってくるのでしょう?
ここからは、各機関への届出について詳しく見ていきましょう。

保健所への届出

保健所への手続きに必要な具体的なものは以下の通りです。
1 施設の位置図

2

構造、設備の平面図
3 従業者の名簿
4 医師の診断書(結核、皮膚疾患について記載した発行後3ヶ月以内のもの)
5 理・美容師免許証(本証提示)
6 解説者が法人の場合は、登記簿謄本。外国人の場合は外国人登録証明書
7 手数料
多くの人が出入りする美容院は、衛生的に管理されていなければいけません。
そのため、保健所の基準を満たさなければ開業はできません。
保健所への手続きでは、内装の設計時に申請が必要な「開設届」の書類を提出します。営業を開始する15日前までに保健所へ書類を持っていきましょう。
このときに「開設検査手数料」も必要になります。検査を行う日程を決め、決めた検査日には保健所職員が提出した書類を元に確認検査をしていきます。

消防署への届出

火災報知器設備・非常警報設備・消火器などの、消防検査の基準を満たすために消防署への手続きが必要です。
内装工事と同時に工事業者への確認、消防署へ相談・確認も行うとスムーズに手続きができます。

税務署への届出

税務署へ提出するものは個人と法人で異なります。具体的な内容は以下の通りです。

【個人】

1

個人事業の開業届出書
2 所得税の青色申告承認申請書(任意)
3 給与支払い事務所等の開設届出書(任意)
4 源泉所得税の納期の特例の承認関する申請書(任意)
5 青色事業専従者給与に関する届出書(任意)
法人
1 法人設立届出書
2 青色申告の承認申請書(任意)
3 給与支払い事務所等の開設届出書(任意)
4 源泉所得税の納期の特例の承認関する申請書(任意)
各書類については、必要項目を記入していれば問題なく受理されますが、注意したいのが「期限」です。書類によって期限は異なりますが、開業後から1ヶ月以内には書類を提出できるように準備しましょう。
天候などに左右されやすい郵送で提出するときは必着指定日をするなどして、提出期限が過ぎてしまわないように気をつけましょう。
開業届はとても大切なもので提出をしなければ税務署が美容院を開業したことを把握できず、税金のお知らせなどを受けることができなくなります。

労働保険監督署への届出

開業の際には労働保険監督署で「労災保険」についての届出をする必要があります。

個人・法人ともに提出する書類は

・労働保険関係設立届出
・労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書

上記の2つとなっており、どちらも必ず提出しなければいけないものなので注意が必要です。

ハローワークへの届出

ハローワークでは「雇用保険」についての届出を行います。
これも労災保険同様個人と法人で提出する書類は同じで、

・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届


上記の2つとなります。
こちらも必ず提出しなければいけない書類です。

年金事務所への届出

年金事務所への届出は、個人での設立についてはすべて任意となっており、提出しなければ開業できない、というものではありません。
法人での開業を予定している場合には必須となりますので気をつけましょう。
年金事務所へ提出する書類については以下の通りです。
1 健康保険/厚生年金保険新規適用届
2 新規適用事業概況書
3 健康保険/厚生年金保険被保険者資格取得届
4 健康保険扶養者(異動)届出
5 健康保険/厚生年金保険料納入告知書送付(変更)依頼書
年金事務所では主に社会保険についての手続きを行っていきます。

福利厚生について

美容院を開業する際に重要となるのが福利厚生です。福利厚生は働きやすい環境を整えるポイントにもなります。
代表的な福利厚生に挙げられるのが社会保険制度です。社会保険制度には、「健康保険」「厚生年金」「労災保険」などが含まれます。
開業後にスタッフを雇うと、スタッフの社会保険への加入が必須となり、手続きが必要です。
ここでは、例として健康保険、厚生年金、労災保険について解説していきます。

健康保険

健康保険は、全国健康保険協会または全日本美容健康組合・東京美容国民健康保険組合・東京理容国民健康保険組合・大阪府整容国民健康保険組合などで手続きを行います。

健康保険にかかるお金は半額が会社負担となり、働くスタッフとしては個人的な負担が少ないメリットがあります。
ほかにも、傷病手当金や、出産手当金制度、扶養制度などがあるため、個人の経済的な負担を抑えることができます。
ただし、全国健康保険協会の場合、傷病手当金や出産手当金制度がありません。扶養制度もないため、家族全員が被保険者になる必要があります。

厚生年金

厚生年金は年金事務所で手続きを行います。
今までは従業員として働いていた人が美容院開業をするときには、年金の種類が変わるので必要な手続きです。手続きには印鑑が必要です。
また、一緒に働くスタッフがいる場合は申請時期が定められており、スタッフが入社日から5日以内に手続きを行うようにしましょう。

労災保険

労災保険は、労働基準監督署で手続きを行います。
仕事中の怪我などで治療が必要になったり、通勤中の事故などが起きてしまったりした場合の保険です。治療から完治までにかかる治療費を負担してもらえるため、労災保険は原則加入義務があります。
保険料は事業主負担になるのでデメリットに感じる経営者もいますが、万が一のリスクを避けるために、とても大切な福利厚生のひとつです。

美容院(ヘアサロン)開業に必要な資格

美容院を経営していくには、もちろんですが美容師免許が必要です。
しかし、この資格だけでは美容院は開業できません。美容師免許以外にもどういった資格が必要なのでしょうか。詳しく紹介していきたいと思います。

常時美容師が2人以上の場合

衛生的な管理を行っていくために、管理美容師の資格を持っている者を配置する必要があります。そのため、お店に常に2人以上出勤をするというときは「管理美容師」が最低でもひとり必要です。
管理美容師資格は、美容師免許取得後に美容院で3年以上の実務経験を経てることが条件となり、講習会を受講し、終了した人が取得できます。
管理美容師の講習会は、都道府県知事が指定した場所で年に2回行われます。

2店舗以上の店舗展開をする場合

美容院の開業主が管理美容師資格を持っているなら、オーナーが管理美容師として勤務することができます。
ただし、美容院を2店舗以上経営する場合は、注意が必要です。
管理美容師の資格は一店舗のみに適用され、2店舗の管理美容師として勤務することはできません。そのため店舗展開する場合は、ほかに管理美容師資格を持っているスタッフを配置することが義務付けられています。
万が一、管理美容師が足りないとなった場合、開業主が講習の受講料18,000円を負担してスタッフに取得してもらうなどの方法もあります。

まとめ

美容院を開業するためには、さまざまな手続きが必要になります。
手続きはもちろん一日で終わるものではありません。

きちんと開業を開始したい日から逆算して、計画を立てるとスムーズに進めることができます。
従業員数によって資格が別途必要になることもあるため、早めにリサーチしておくことがなにより大切なのです。

経営についてのことにしっかりと集中するためにも、事務手続きはできる限り早めに済ませ、落ち着いて実務に入れるようにしましょう。

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