
なぜ辞めてしまう?美容室における"人手不足"の実態を調査
現在、美容業界では、深刻な美容師不足に悩まされています。
美容室経営をしていて、人手不足に悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この美容師不足問題は、美容業界全体の問題でもあります。
何が原因で人手不足が深刻化しているのか、その実態を調査してみました。
目次[非表示]
- 1.美容室の増加と美容師の減少
- 2.美容師の本音
- 2.1.給与が安い
- 2.2.自分の時間を持てない
- 2.3.手荒れ・腰痛
- 3.まとめ
美容室の増加と美容師の減少
美容室の店舗数は平成11年以降、毎年少しずつ増加している傾向にあります。
しかし、それに反比例するように美容師の免許件数は、平成16年をピークに減少。
平成29年に若干の盛り返しが見られましたが、それでもピーク時より約1万人も少ないという統計が出ています。
美容業界では、店舗数に対して美容師資格者数が大幅に減ったことによって生存競争が激化。その結果、美容師不足が深刻な問題へと発展しています。
ではなぜ、このような事態になっているのでしょうか。
それは、美容室の離職率が50パーセントという非常に高い水準になっていることが大きな要因のひとつといわれており、2人のうち1人は1年以内に辞めてしまう、という実態が浮き彫りになっているためです。
美容師不足の解決のためには、この「離職問題をいかに防止するか?」が最大のネックです。
美容師の本音
美容師の離職率が高いことは前に述べたとおりですが、ここでは離職の理由を大きく3つまとめてみます。
給与が安い
どの業界にも共通しますが、最も多い離職理由として、「賃金の安さ」が挙げられています。
とくに美容師の場合は、労働の拘束時間に対して給与額が少ないということが問題になっています。実際に美容室を退職した方の声にも、「業務内容に対して、給料が安すぎる」という意見が多く聞かれました。
美容師・理容師の平均年収は286万円という統計が出ていますが、この金額は一般企業に比べても水準が低い給与額です。
アシスタント時代にはさらに低い給料で働く場合が多く、そのうえスタイリストになっても高い給料が約束されているわけではありません。
給与のアップはむずかしい問題ではありますが、働きに応じて昇給するといった制度を設け、スタッフのモチベーション維持を検討してみてはいかがでしょうか?
また、一般の企業では、給与支払い時に社会保険料が差し引かれますが、美容室の場合は、社会保険といった福利厚生が完備されていないケースがあります。
社会保険の完備には、美容師によっても「ただでさえ安い給与から保険料が引かれると生活できない」という「なくてもいい」派と、「将来が不安だから福利厚生が充実した店舗で働きたい」という「あってほしい」派にわかれますが、福利厚生の有無を理由に退職するスタッフがいるという事実もおさえておきましょう。
自分の時間を持てない
次に挙げられるのは、「拘束時間の長さ」。
休みが少なく、また1日の半分以上を仕事で拘束されるため、自分の時間を持てないと不満に思う方が多いです。実働時間だけでなく、プライベート時間を割いて練習しているという方もいます。
人手不足のため、どうしても少人数のスタッフでシフトをまわさざるを得ないこともあるでしょう。ただ、それによって忙しさを苦に、さらにスタッフが減ってしまっては悪循環です。たとえば、フルタイム勤務のスタッフのほかにも、短時間のスタッフを雇用して、フルタイムスタッフの負担を軽減するといった方法を検討してみるのもひとつの方法です。
手荒れ・腰痛
給与や労働時間以外にも、身体上の問題もあります。
美容師・理容師にとって手荒れは切っても切り離せない職業病といえますよね。
シャンプーはもちろんのこと、カラーやパーマで強い液剤などを扱うため、皮膚が丈夫な人であっても、手がひどく荒れてボロボロになってしまうようです。
拘束時間の長さや忙しさのため、ハンドケアする時間が取れないという方も多く、美容師という仕事は好きなのに、手荒れが原因で離職しなくてはならないという人もいるそうです。
また、一日中ずっと立ち通しで足がむくんだり、前屈みになった姿勢で腰を痛めたりする人もいます。腰を痛めてしまうと、長時間立っていることすらつらくなりますので、仕事を続けられないという方もいらっしゃるでしょう。
手荒れやむくみのケアができる時間、環境を作ってあげることで、こういった理由での離職は多少防げるかもしれません。
まとめ
美容業界の人手不足の実態をまとめてみると、給与に関する不満が多いことがわかりました。
とはいえ、経営上、簡単に賃金を上げることはむずかしいでしょう。
スタッフの離職率を下げる取り組みとして、まずは「休憩時間をしっかり与える」「スタッフの悩みを聞いてあげる」といった、小さなことでも、できることからはじめて、続けてみてはいかがでしょうか。